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資産運用と目標利回り
資産運用をしている人の中には「できる限り増やしたい」と、なんとなく闇雲に運用している人も多いかもしれません。
ですが、資産運用において重要なリスク・リターンには「適切なバランス」があり、自分にとって必要な運用目標とそれに適した方法できちんと運用しなければ、長期的にきちんと資産を築くことはできません。
「年2~3%でコツコツ運用して長期的に損をしなければよい」
と考える人と
「年10%+で運用し、がっつり稼ぎたい」
と考える人とでは、適切な資産運用の方法は異なります。
そこで今回は、適切な運用目標を設定するためにも、運用計画を立てる上で重要な「複利」について詳しく解説していきたいと思います。
資産運用で重要な「積立」と「複利」
資産運用において「積立投資」が非常に重要だという話があります。
積立投資は、コツコツ積み立てていく姿勢や、目先の利益に執着しない節約の精神にも価値がありますが、それ以上に重要なポイントに「複利」の効果があります。
「複利」とは、運用で得られた利益を、配当として受け取るのではなく、そのまま積み立てて次の元本として運用していくことです。
例えば、1,000万円を運用し、年10%(100万円)のリターンが出た場合、その100万円を受け取らずに、1,100万円を元本として翌年の運用に充てます。
そうすることで、同じ年10%のリターンが得られた場合、1,100万円×10% = 110万円となり、前年以上の利益を得ることができるのです。
この複利の効果は短い期間で見ると大したことがありませんが、中長期的に見るととんでもなく大きな差になります。
1,000万円を元手に、年10%の利回りで20年運用した場合、どの程度の差になるのか、
- 配当あり
- 積立(配当なし)
の2つのケースを比較してみましょう。
1年後 | 2年後 | 3年後 | 4年後 | 5年後 | ・・・ | 10年後 | ・・・ | 20年後 | ||
配当あり | 元本 | 1,000万 | 1,000万 | 1,000万 | 1,000万 | 1,000万 | ・・・ | 1,000万 | ・・・ | 1,000万 |
利益 | 100万 | 100万 | 100万 | 100万 | 100万 | ・・・ | 100万 | ・・・ | 100万 | |
総額 | 1,100万 | 1,200万 | 1,300万 | 1,400万 | 1,500万 | ・・・ | 2,000万 | ・・・ | 3,000万 | |
積立複利 | 元本 | 1,000万 | 1,100万 | 1,210万 | 1,331万 | 1,464万 | ・・・ | 2,358万 | ・・・ | 6,116万 |
利益 | 100万 | 110万 | 121万 | 133万 | 146万 | ・・・ | 236万 | ・・・ | 612万 | |
総額 | 1,100万 | 1,210万 | 1,331万 | 1,464万 | 1,611万 | ・・・ | 2,594万 | ・・・ | 6,727万 |
このように全く同じ利回りでも、その利益を配当として受け取ってしまうか積み立てるかで、20年後には資産総額は倍以上に差が開いています。
きちんと積立て複利で運用することで、これほどまでに資産を増やしていくことができるのです。
福利では「指数関数的に」倍々に資産を増やすことができます。
元金・利回り別必要年数
きちんと積み立てて複利で運用すれば、倍々に資産を増やしていくととができることがわかりました。
つまり、パッと見はそこまで高くない利回りだったとしても、長い年数をかけてコツコツと積み立てていけば、将来的に十分な資産を築くことができるのです。
そこで、今回は「資産1億円」を達成するために必要な利回りと年数について考えてみましょう。
「1億円」と聞くと途方もないような金額に聞こえますが、きちんと積み立てて運用すれば実は非現実的な目標ではありません。
1億円は大きな金額ですが「老後に備えて1億円が必要」というデータもあり、多くの人にとって無視できないラインです。
資産運用は、早めにスタートすれば、必要な利回りも小さくて済むため、より低リスクで安定的に目標を達成することができます。
安心して老後を過ごすためにも、早めから運用をスタートしてコツコツと資産形成していくことが求められているのです。
元金と利回り別に、1億円を達成するのに必要な年数はそれぞれ以下のようになります。
資産1億円までに必要な年数(複利)
元金/利回り | 3% | 5% | 10% | 15% |
1,000万円 | 78年 | 47年 | 24年 | 16年 |
2,000万円 | 54年 | 33年 | 17年 | 12年 |
3,000万円 | 41年 | 25年 | 13年 | 9年 |
5,000万円 | 23年 | 14年 | 7年 | 5年 |
また、積立て福利で運用せずに、毎年利益を配当として受け取った場合(元金固定)のケースと比較してみましょう。
1,000万円を元手に1億円達成までに必要な年数
3% | 5% | 10% | 15% | |
複利 | 78年 | 47年 | 24年 | 16年 |
単利(配当あり) | 300年 | 180年 | 90年 | 60年 |
仮に1,000万円を元手に年5%の利回りで運用し続けたとしても、1億円(資産10倍)にするまでに、毎年配当を受け取っていては180年も費やしてしまします。
ですが、きちんと利益を積み立てることでこれを47年(約4分の1)にまでギュッと短縮することができるのです。
180年や300年となると現実的な数字ではありませんが、30年や40年程度であれば、早めに運用を始めれば十分に達成可能でしょう。
さいごに
資産運用について、早め早めからきちんと計画・試算をして、自分にとって最適な運用計画を立てることは非常に重要です。
特に、今回解説した「積立投資(複利運用)」の効果については、見落としていたり、過小評価してしまっている人もいるので、今一度きちんと計算し、手元の資金や運用目標から正しい利回りやそれに合った運用方法を見直してみてください。
ある程度の資産をあらかじめ用意しておくことで、必要な利回りはさらに抑えることができ、より低リスクで安定した運用ができるようになります。
積立(複利)で運用することの重要性を理解し、早め早めから将来に備えた資産運用をすることで、少しでも低リスクに目標を達成することが重要です。