目次
世界のヘッジファンドランキング
投資や資産運用に興味がある人であれば一度は耳にしたことがあるであろう「ヘッジファンド」
ヘッジファンドは投資・資産運用を主たる事業とする専門機関で、金融の世界でも最高レベルの投資の実力と運用実績を誇ります。
そんな世界のヘッジファンドで運用してみたいと考える人のためにも、まずは世界レベルのヘッジファンドがどの程度のパフォーマンスを記録しているのかを見てみましょう。
ファンド | 総利益 | 2020年収益 | 運用資産 | パフォーマンス | 創業年 |
Tiger Global | 26.5 | 10.4 | 50 | 20.8% | 2001 |
Millennium | 36.0 | 10.2 | 51 | 20.0% | 1989 |
Lone Price | 42.3 | 9.1 | 36 | 25.3% | 1996 |
Viking | 36.6 | 7.0 | 59 | 11.9% | 1999 |
Citadel | 41.8 | 6.2 | 35 | 17.7% | 1990 |
平均 | 19.1% |
※単位は10億ドル(≒1,000億円)
この表は世界的金融メディアBloombergの記事を元に作成したものです。
2020年の運用益のTOP5のファンドについて、それぞれの運用資産を元に、年間のパフォーマンスを算出しています。
やはり世界トップクラスのファンドともなると平均で年19.1%ものパフォーマンスを叩き出しており、コロナ禍で難しい市況だったにも関わらず高い実力が発揮されていることがわかります。
数ヶ月や1年など、短い時間で見た場合、もっと高いパフォーマンスを出しているファンドや投資家は大勢います。
重要なのは、そのパフォーマンスがどのような市況であっても、長く安定的に継続できる「専門性やノウハウに裏付けられた実力」があるかどうかです。
ここのランキングで紹介している世界的なファンドは、いずれも運用資産が3~5兆円近くもあるモンスターファンドです。
これらのファンドが長く安定的に高いパフォーマンスを維持してきたことで、ここまで資産を大きくしたことは言うまでもありません。
ヘッジファンドの世界
これらの素晴らしい実績を見て、ここに挙げられているような世界的なファンドに出資(=運用をお願いしたい)と考える人もいるかもしれませんが、ヘッジファンドに投資するのは決して簡単ではありません。
こういったファンドは、他の金融機関や世界的な投資家や富裕層のみからの出資を取り扱っており、一般の投資家が、それこそ株や投資信託を買うように投資できるわけではありません。
アメリカの場合、ヘッジファンドに投資できる適格機関投資家の資格を有するには「金融資産1億円以上、過去3年年収2,000万円以上」などの様々な条件が課されます。
仮に、日本からコンタクトを持ちたいのであれば、プライベートバンク(PB)を通じるのが最も現実的ですが、これも決して簡単ではありません。
プライベートバンク(通称PB)とは、優良な投資先の選定・紹介やポートフォリオの再構築まで顧客の資産管理を一手に担うサービスです。
銀行や証券会社などが提供するサービスですが、口座開設(利用)には厳しい条件があります。
プライベートバンクを開設するための条件は金融機関によって異なりますが、日本から利用できる代表的なものについて、その条件を整理しておきましょう。
これらの数字を見ても、世界的なファンドで運用することが簡単でないことがわかります。
金融機関 | 開設条件 |
みずほ銀行 | 最低預入額10億円 |
三井住友銀行 | 最低預入額5億円 |
クレディ・スイス | 最低預入額5億円 |
UBS | 最低預入額2億円 |
ロンバー・オディエ | 最低預入額1億円(ただし金融資産3億円以上) |
ヘッジファンドで運用することの最大のメリットは、当然高いパフォーマンスが期待できることです。
パフォーマンスの一部を報酬とする彼らは「絶対収益」を追求し、相場に関係なく安定した収益を出し続ける強みがあります。
高いパフォーマンスに加えて、時間やその他のコストが抑えられるといった点でも大きなメリットがあります。
信頼できる優秀なヘッジファンドに資産を預けるということは、運用を担っているファンドマネージャに運用を一任するということであり、投資家自身が運用に対してあれこれと考えたり時間を割く必要から開放されます。
ヘッジファンドに投資するような富裕層であっても、投資の知識があまりない人は珍しくありません。あるいは、事業を成功させて大きな富を得た人の場合、自分自身のビジネスが繁忙ということも考えられます。
そういった人たちにとって、ヘッジファンドは丸投げて資産運用をしてくれる強い味方なのです。
このことからも、ヘッジファンドは投資にあまり詳しくない初心者や本業が忙しいビジネスマンなどにもおすすめできます。
日本のヘッジファンドがおすすめのワケ
このように海外のヘッジファンドや、それに通ずるプライベートバンクはハードルが高くなかなか手が出るものではありません。
また、仮にPBを介して世界的なヘッジファンドに投資したとしても、PBという仲介を挟んでいる(=仲介手数料が抜かれるため)ため、ファンドのパフォーマンスを直接享受することができません。
ですが、日本国内のヘッジファンドであれば、PBなどを介する必要もなく、直接契約できるところも多いため、ロスなく利益を受け取ることができます。
また、世界的なファンドのように数億円単位の資産を持っていなくても、投資できるものもあり、ハードルが低いという面でもおすすめできます。
海外のファンドは数億円が最低ラインでしたが、国内のファンドであれば1,000万円程度から投資できます。
なにより、日本語で直接会話して、質問したり話ができるという点も大きなポイントです。
大切な資産を預けるのですから、そのファンドがどんな投資をして、どんな仕組みで、どんな契約内容なのかは、自分自身できちんと確認できるに越したことはありません。
電話やメールで自分の言葉でやりとりできるだけでなく、(ご時世的な問題はありますが)直接会って話をすることもできるかもしれません。
また、ファンドにもよりますが、国内株式などで運用しているファンドであれば為替リスクがないのもおすすめポイントです(※日本のファンドでも海外に投資しているものは除外されます)
海外のファンドであれば、当然現地通貨(ドルなど)で運用されるため、為替リスクは避けられません。
せっかくファンドのパフォーマンスが良くても、為替状況によっては資産が目減りするリスクがあります。
特に、色々と不安が多い投資初心者や、事務手続きなどに余計な時間を割きたくないビジネスマンにも、国内ファンドはおすすめできます。
- 直接契約で余計な仲介が入らない
- 最低金額のハードルが低い
- 日本語が通じる
国内おすすめファンドTOP3
国内ヘッジファンドの中でも特におすすめできるファンドTOP3を紹介しましょう。
ここで評価しているポイントは以下のの3点です。
- 安全性・安定感
- 投資戦略
- パフォーマンス(運用実績)
これらのポイントを重視しつつ、ランキング上位から詳しく解説していきます。
BMキャピタル
総評 | 「安定して運用したいならココ!」と言いきれる優良ヘッジファンド 中長期での資産形成におすすめ わかりやすい仕組みなので初心者にも最適 |
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特徴 | 「資産を守る」という投資哲学と、それを実践するバリュー投資 |
評価ポイント | とにかく投資内容・運用実績共に堅実で安定感がある |
投資内容 | 国内株式・バリュー投資 |
パフォーマンス実績 | 平均年10%超 |
最低投資額 | 1,000万円 |
公式ページ | BMキャピタル公式ページ |
BMキャピタル(BM CAPITAL)は、国内株式で運用する日本のヘッジファンドです。
バリュー投資を主体とし「資産を守る」という投資哲学の元、着実に運用しています。
参照:BMキャピタル公式ページ
バリュー投資とは、会社のバリュー(value:資産価値)に着目し、割安な株式に投資する投資手法です。
資産価値という裏付けがあり、値崩れしにくく長期安定した運用に適している手法です。
10年近く投資・運用を続けている実績があり、その間
- 平均年10%
- マイナスになった年0回
という素晴らしいパフォーマンスを記録しています。
参照:BMキャピタル公式ページ
BMキャピタルの運用は、堅実ではあるものの短期的な利益を追求するものではないと考えられます。
すぐに資産がどんどん増えるタイプではないため、5年, 10年と長い時間をかけて資産形成する必要があるでしょう。
※長期安定こそが資産運用の鉄則なことを心がけましょう。
最低出資金額は「1,000万円」に設定されており、2位以下の投資信託化されているものと比較するとハードルはありますが、世界的なファンドと比べれば十分手の届く範囲でしょう。
自社で直接募集する「私募」で、あまり詳しい情報は公開されていないため、興味のある人は公式サイトから問い合わせ・資料請求をすることをおすすめします。
ひふみ投信
総評 | レオス社が運用するファンドをより手軽に買えるようにした直販型投資信託 国内外の割安株式に投資するとしているが為替リスクもある |
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特徴 | 投資信託化され手軽に投資できる |
評価ポイント | カリスマトレーダー藤野氏の手腕 安価に購入できる仕組み |
投資内容 | 国内外の上場株式を主要な投資対象とし、市場価値が割安と考えられる銘柄を選別して長期的に投資 |
パフォーマンス実績 | 1年:35.73% 3年:19.92%(年平均6.2%) 設定来(13年):517.71%(平均年16.4%) |
最低投資額 | 1,000円 |
公式ページ | ひふみ投信 |
ひふみ投信は、レオス・キャピタルワークス社が運用・販売する投資信託化されているファンドです。
一般的なヘッジファンドが、限られた(数十人〜数百人程度)投資家と直接会って話をした上で契約するため、最低金額を高く設定しているのに対し、証券化することで、より多くの投資家が買い求めやすくなっています。
1,000円から誰でも簡単に始めることができます。
「長期的な資産形成」を目的としたファンドですが、何より注目するべきは、同社の社長であり投資最高責任者を務める藤野英人氏でしょう。
カリスマトレーダーとして名高い彼の投資手腕に期待ができます。
出典:ファンドマネージャーメッセージ | ひふみプラス | ひふみ
最新の交付目論見書では『国内外の上場株式を主要な投資対象とし、市場価値が割安と考えられる銘柄を選別して長期的に投資します』とありますが、かつては『日本の成長企業に投資する』としていたため、ここ数年の間に大きく投資戦略を変えていることがわかります。
時代の変化に合わせて柔軟に対応しているとも捉えられますが、今までの手法が行き詰まったため場当たり的に方向転換したとも捉えられます。
このあたりの戦略の切り替えで、藤野氏の評価やファンドの良し悪しが分かれるかもしれません。
直近1年間のパフォーマンスは35.73%と素晴らしく見えますが、コロナショック後の株価回復に伴うものであるため、一概に評価はできません。
過去3年の平均を見ると6.2%であり、堅実に運用しつつある程度相場上下の影響を受けることが懸念されます。
とはいえ、設定来のパフォーマンスを見ても、TOPIXを大きく上回っており、適当に自分で株を買ったり、一般的な投資信託やETFを買うよりかはおすすめできます。
ひふみ投信以外にも「ひふみプラス」「ひふみワールド」「ひふみ年金」など様々なタイプの商品があります。
どれも中身に大きな差はありませんが、証券会社での取扱があったりiDeCoが活用できたりと仕組みが異なるので、自身に合ったものを選べるのもひふみの魅力でしょう。
セゾン資産形成の達人ファンド
総評 | 世界に分散投資するなら申し分ないファンド ただしファンド・オブ・ファンズの間接的な二重コストに注意 |
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特徴 | 世界に分散投資するファンド・オブ・ファンズ 間接的に世界的な運用会社を活用できる |
評価ポイント | 間接的ではあるが世界的な運用会社を活用できる |
投資内容 | 世界の株式に分散投資 |
パフォーマンス実績 | 1年:49.52% 3年:46.31%(年平均:13.5%) 設定来(14年):199.84%(年平均:8.2%) |
最低投資額 | 10,000円 |
公式ページ | セゾン資産形成の達人ファンド |
セゾン資産形成の達人ファンドは、バンガードをはじめとする世界的な運用会社を通じて、世界の株式に分散投資できる、投資信託方のファンドです。
世界的な投資会社に間接的に投資できる点は魅力的ですが、あくまでもファンド・オブ・ファンズ(※ファンドを通じて複数のファンドに間接的に投資する仕組み)のため、間接的な二重コストは免れません。
運用実績も悪くはありませんが、コロナショック時に大きく値崩れしているところを見ても、相場の影響は免れないでしょう。
スポット購入10,000円〜、定期積立が月々5,000円〜とひふみ投信と同様に比較的誰でも簡単に少額から買うことができ、手軽なファンドと言えます。
[番外編]エクシア
今回TOP3には入りませんでしたが、最近よく名前を聞くようになったエクシア合同会社についても軽く触れておきたいと思います。
その非常に高いパフォーマンスを理由におすすめされることもあるようですが、一部疑問視する声もあります。
エクシアについて考えるポイントは以下の3つです。
- FXで月2~3%(年30%以上)の高パフォーマンス
- 手数料なし
- 既存投資家からの紹介のみで募集
FXで月2~3%(年30%以上)の高パフォーマンス
エクシアはその圧倒的なハイパフォーマンスが一番の人気ポイントです。その利回りは凄まじく2020年の利回りは約40%とも言われています。
確かに利回りが高いのは魅力的かもしれませんが、こんなにも高いパフォーマンスが安定するとは思えません。
エクシアはFXで運用しており、もちろん一度や二度こういったパフォーマンスになることはあるでしょうが、このパフォーマンスが本当に続くのであれば、すぐにでも世界トップクラスのファンドになるでしょう。
世界的なファンドを見ても、年15~20%程度が正常なパフォーマンスの限界です。
特にFXは不確実性要素も高く、安定運用には適していない「ハイリスク・ハイリターン」な投資と言われています。高い利回りには相応のリスクがあることを心がけましょう。
手数料なし
次に注目するべきは「投資家からの手数料がゼロ」という点です。
この情報を見て喜ぶ方もいるようですが、ファンドとして活動していくためのコストやそこで働いている人たちの給料などは絶対に必要なので、ファンドが収入を得ていないわけがありません。
表面的な手数料をゼロにしていますが、裏で確実に取っているはずなので、手数料体系や利率が不透明で疑問が残ります。
「ただより高い物はない」とはこのことでしょう。
既存投資家からの紹介のみで募集
そんなエクシアですが、出資する際には既存投資家からの紹介を経て面談等を通じて出資する必要があるようです。
紹介のみであれば、募集の必要もないように感じますが、エクシアは様々な広告を展開しています。
最近ではJR山手線の車内広告でも目にしますし、新宿や六本木の一等地に巨大な広告も出しているようです。
既存投資家からの紹介のみで募集をしているはずなのに、大々的に広告を出している点は矛盾しています。
また、そもそもこれらの莫大な広告費はどこから捻出されているのでしょうか。手数料がゼロのはずなのに不思議です。
ちなみにですが、山手線の手数料は以下の通りで最低でも2週間で600万円。普通に目にしようと思ったら、月2,000~3,000万円はかけていると予想できます。
料金 | ||||
2週間 | 4週間 | 12週間 | ||
山手線 (11両) |
1編成 | 6,000,000 | 8,000,000 | 16,000,000 |
2編成 | ー | 15,000,000 | ー | |
4編成 | 20,000,000 | 28,000,000 | ー | |
10編成 | 40,000,000 | ー | ー |
エクシアまとめ
この他にも、代表の菊池翔氏の優雅なプライベートをインスタ(@exiaceo)で発信していたり、有名な弁護士を顧問としていたりとブランディングに余念がありません。
もちろんその分の費用はかかっているはずですが、手数料ゼロでどこから捻出されているのかも不明です。
過去には、金融メディアZUU Onlineがエクシアを紹介した記事を削除したというニュースもありました(参考『金融メディアのZUU、あのエクシア合同会社をおすすめヘッジファンドと紹介してしまい該当記事をお詫び文に差し替え 』)
そもそもFXでの運用が安定した資産形成に適していない点に加え、不透明な部分もあり疑問点も多く残るといった点から今回はおすすめには入れませんでした。
ただし100万円から始めることができるので、数千万円単位での運用を検討している余裕のある人であれば、興味があるのであれば無くなってもよい覚悟で少額のみを投資してみるのはアリかもしれません。
まとめ
ヘッジファンドと聞くと、世界的に有力な投資会社で、富裕層や資産家だけが利用できる運用会社というイメージがあったかもしれません。
自分には手の届かないものとイメージしていた人もいるかもしれませんが、最近では日本国内にも、より身近で比較的ハードルの低いファンドが登場してきています。
資産運用をすることが当たり前になりつつあり、今まではあまり馴染みのなかったヘッジファンドのようなサービスも、より身近なものになってきました。
自力で株や投資信託で運用するのは、知識や経験も求められますし、長く安定して運用し続けるのは非常に大変です。
生活に支障をきたさず余裕を持って運用するためにも、この機会にヘッジファンドを検討してみてはいかがでしょうか。